| 買い物 |
|
買い物好き
日本人は何処に行っても買い物が好きである。珍しい場所に行っても何か買わなければ、その地に行った実感が沸かない。 風光明媚な場所に行っても観光はそっちのけで、買い物をしている日本人を良く見かける。 日本人ばかりでなく、韓国人も、中国人も買い物が好きである。 何を隠そうこの私も買い物が好きである、どこかに出かけると必ず何か買って帰る。 フィンランドに行った時は、ガラス細工が有名だという事で、重たいガラスの花瓶を買ってきた。 ノルウェーではバイキングの置物を、イタリアのナポリでは、カモーラと言うイタリアマフィア の抗争で、街中が厳戒態勢の中そんなことは全く知らず、夜の街に出て、カメオのブローチを買った。 またミラノでは空港内にある免税店で、有名ブランドのネクタイを10本以上買って帰った。 ロンドンではバーバリーのマフラーや、バッグをヒースロー空港では、ロンドン名物の二階建てのバスの ミニチュアやオースチンのタクシーのミニチュアを買った。 私がこうして色々な物を買い込むのには訳が有った。 私の出張は殆どが各国の代理店の要請で、その代理店の技術者が解決の出来ない問題が 発生したとき私に要請が来るのだ。 従って時として、代理店と顧客がかなり険悪なムードになっていることも稀では無いのだ。 更に、大きな顧客となるとなると、この問題が解決したら機械を何十台も買ってやるなどと言う時も有る。 こんな時は日本の本社からと、その国の代理店からの両方のプレッシャーがかかることになる。 十分な測定器や工具も無い状況で、何とか客の要望に沿うべく苦悶して、その結果が良好の場合は その開放感から、財布の紐が緩んでしまうのだ。 まあこれは単なる言い訳かな、結局はただ買い物が好きなだけかもしれない。 ドイツから帰国後に中国に出張に行った時は、掛け軸やカシミアのセーター、絹のスカーフ 等を大き目の旅行鞄一杯に買い込んで来たことも有った。 中国から買って帰った物は半分はガラクタだった、山のように買って帰った漢方薬も結局 一粒も飲まないまま捨ててしまった。 幸いな事に私の女房は私が何を買って帰ってもいつもニコニコしていた。 出張が終わって、どうにかこうにか我が家にたどり着き、我に返って買ってきたお土産を見ると どれもこれも不要なガラクタばかりということも多かったが、女房はいつも道理ニコニコして次の日はすっかり 見えないところに片付けて有ったりした。 ランゲ
買い物付き好きの私であるが、私たちが暮らしていたドイツ国内では、たいした買い物はしなかったように思われる。
それには一つ理由があった。
ドイツのデパートやスーパー、小売店は午後6時半には閉まってしまうので会社に出勤する日は 仕事が終わっても買い物にはいけなかった。 更に日曜日は全ての商店が休みで有った。 唯一買い物が出来るのは土曜日であったが、これも朝8時半にいつもより一時間早く開店し 2時には閉店してしまうのだ。 出張が多く寝不足気味の私は、どうしても土曜日は早く起きられず、10時頃起きて買い物に行く。 2時までだと、必要な日用品を買うことがせいぜいで、とてもそのほかの物を見て歩く暇は無かった。 ところが例外があって、月の第一土曜日はランゲ(英語のLong)と呼ばれて、商店は午後6時まで営業していた。 ランゲの日は我々はウキウキして買い物に出かける、ゆっくり昼食をとっても4時間は普段より長く買い物が出来るので有る。 ドイツ製品
買い物に出かける先はデパートである、デュッセルドルフには3つ程大きなデパートがあった。
デパートで扱っている商品はほぼ日本と同じで、家具から生活必需品と衣料品等である。 最初に我々が狙うのは衣料品であるが、これには少し問題があった。 ドイツ人と日本人では体系が違うのである。 先ず上着であるが、腕が異様に長いので有る、長さにすると10cmから15cm位は長い。 着丈の調度良いのを探すと、手が袖から出ないのである。 ワイシャツなどは完全にお手上げである。 次に靴であるが、私の靴のサイズは25cmで有って、 ドイツではそんな小さなサイズは大人用の靴にはないので子供用の靴の中から捜さなければならない。 幸い私はイタリアやイギリスに出張に行くことが多く、靴はそれらの国で調達した。 イタリアやイギリスには小さいサイズの大人用の靴が置いてあった。 ある時デュッセルのデパートで私に調度合う靴を見つけた、それはイタリアやイギリスの靴と比べると、いかにも ごつくてださい感じの靴であったが、私のサイズに合う靴などめったに無いので買い求めた。 値段は多分8000円くらいであったと思う、決して安くは無い。 ところがこの靴結構重いのであるが、履いているとだんだん足になじんできて普段履きには最適であった。 加えてこれの丈夫さには驚いた、日本に持ち帰って更に5年位履いていてもびくともしない、ちょっと底の ゴムが減ってくる程度である、ドイツの靴一生物だなと私は思った。 それに比べるとイタリアの靴は見た目が良く履き心地は抜群であるが、一年位履いていると かかとが取れてしまったりする。 出張先で靴の踵が取れてしまい難儀をしたことを覚えている。 私は取れてしまった踵を後生大事に持って帰って、靴屋に修理に出したが、靴屋はもう一方の踵も取ってしまい 新しいゴムの踵を代わりに付けた。 ドイツのデパートでズボンを買ったことも有った、ズボンはどうせ裾上げをするのでウェストさえ合えば長さは問題無い。 グレーの厚手のズボンであり、価格はやはりちょっと高くで一万円位したと思う。 このズボンも丈夫であった、毎日履いていてもびくともしない、普通ズボンは履き過ぎると踵との部分が 摺り切れてしまうのだけれどそんな事もない。 しかもこのズボンなんとテグス(釣り糸)の様なもので縫ってあり、いくら引っ張っても、ほつれてくることは無いのだ。 ドイツ人にとってはズボンも一生物なのかな、ただしウエストがだんだんとね....... ブレザーも買ったことが有ったこれはドイツ製で有ったがバーゲン品で安かったので、女房に適当に袖丈を短くしてもらった。 普段着にしようと思ったのである。 ところがこれがなかなか着心地が良く、着れば着るほど馴染んで来た、最後はこれを出張用にも普段着にも着ていた。 ドイツ製品は一般的に言われる様に丈夫で有る、使い込めば使い込む程味が出てきて愛着が湧くのである。 ただしドイツで安い物を買ってはいけない、ドイツには安いものを上手に作ると言う技術が無いのだ。 日本ではそこそこ使用できるような安物でも、ドイツ製は直ぐに壊れてしまう。 テレビやビデオデッキという物も家具や自動車に比べると安物である、AEGやジーメンスと言った一流メーカー品でも こう言った物は日本製品にはかなわない。 これらをどの様に区別するかと言うと、使い込んで愛着が湧く物はドイツ製が、古くなると捨ててしまう物は日本製が良い。 家具や道具は使い込めば使い込むほど愛着が湧く、つまりドイツ製が優れている。 テレビやビデオなどは古くなると捨ててしまうので日本製が優れている。 自動車はどうで有ろうか、高級車は乗っていると愛着が湧くのでドイツ製が、小型車などは日本製が良いので有る。 古女房はどうなるのであろうか。 ドイツであまり買い物をしなかった理由は、結局のところ我々に高級品を買うと言う趣向が無く、 高くても良いものを買うという習慣が無かったからである。 今考えるとちょっと残念な気がする、良いものが沢山あったのに。 ある時ドイツ人に"日曜日に買い物が出来ないというのはちょっと寂しくは無いのか"と聞いた事が有る。 "ウィンドショッピングで十分"と言う答えが返ってきた。 倹約家のドイツ人にとって、お金が出て行く買い物など楽しくは無いのだ。 |