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画像ファイル 駐在員食事事情(横メシ1)
トラベルはトラブル
1不思議の国インド
2ローマ タクシー騒動記
3モデナで道を聞く
4そそっかしいイギリス人
5片桐機長何を...
6ブルーカラー
7横メシ1
8横メシ2

ドイツ駐在員始末記
1いざドイツへ
2デュッセルドルフ
3駐在員の面々
4アパートを探せ
5女房と子供が来た
6ドイツ人の奥さん
7御入園
8ドイツ人秘書
9アパート事情
10虱騒動
11アウトバーンと車
12ドイツ語
13バカンス
14自転車騒動
15買い物
16食事と食材
17鍵が無い!
18娯楽と本


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横飯とは
画像ファイ ヨーロッパ駐在員は日本食以外のことを"ヨコ飯"と呼ぶ。
商社マンが言い始めたらしい、多分メニューが横に書いてあるからだ、気分は出ている。
"今日はヨコ飯を食わなくちゃーいけないんだよ、参ったなー"とか"どうも私はヨコ飯が苦手で"などと、この言葉を
使うのである。
ヨーロッパに長く居る日本人にとって食の問題は切実である、早い話どこの国に行っても
口に合うものが無いのである。
"そんなことは無い、フランスとかイタリアに行けばおいしいものは山のようにあるではないか
と言う人も居るかもしれないその通りである。
正確に書くと次のようになる。
スイス、ドイツ、オーストラリア、オランダの食事は3日続けて食べられない。
北欧3国とフィンランドの食事は4日続けて食べられない。
フランスの食事は1週間、イタリアの食事は2週間、スペインは1ヶ月、ギリシャは1日である。
イギリスには料理といわれるものは無い。

フランス料理
一週間フランスに出張に行くとしたらこのようになる。
出張一日目はフランス料理のおいしさに舌鼓を打つ、朝食はホテルのレストランで、
コンチネンタルブレックファーストと言うやつを食べる、要するにパンとバーターとオレンジジュース、
コーヒーである。
これはフランス料理とは言えないので、実質的に昼食と夕食がフランス料理となる。
2日目も何とかフランス料理でOKである、ただしデザートは無し、少し胃がもたれてきている。
3日目になるとそろそろやって来る、メニューの中で何かあっさりしたものを探し始める。
4日目になるともう飯が食べたく無くなる特に夕食はつらい。
5日目になると朝のコーヒーも飲みたくなくなる、昼食は何とか押し込むが、夕食は今日は疲れたからと断る。
6日目、朝はジュースだけ昼食と夕食はパンだけ。
7日目、朝はパンとコーヒーとオレンジジュース、昼はアメリカンレストラン(マクドナルド)、夜はどんなに遅くなっても、
家に帰って食べる、家ではしゃぶしゃぶか焼肉である。
これがフランスである。

これがドイツだとこうなる
1日目朝はおいしくな
いパンと、おいしくないコーヒーと半分解けたような、おいしくないバターを食べる、
ジュースはりんごジュースである。
どうしたわけかドイツ人はりんごジュースが好きで、りんごジュースをシャンペンに入れて飲んだりする。
長野県生まれの私としたら、ドイツのりんごジュースなど薄くておいしくないのだけれど。
多分今でもドイツ行きの飛行機では、オレンジジュースと一緒にりんごジュースも置いてあると思われる。
"アッフェル ザフト ビッテ"(ザフトはジュース、ビッテはプリーズ)と言ってみたらいい、
知っている人はかなりドイツ通だと思うだろう。
ドイツ行き以外の飛行機の中で "アップルジュース プリーズ"と言って、スチュワーデスに
"ソーリー ウィーハブ ノー アップルジュース ハウアバウト オレンジジュース?"
(りんごジュースは有りません、オレンジジュースはどうですか?)
などと言われているのは間違いなくドイツ人である。
話はそれたが、一日目の昼はドイツレストランで何か食べるシュニッエルン(カツレツ)でも何でも同じ、
美味くない。
夜はドイツのイタリアレストランに行く、ドイツのイタリアレストランはドイツ人好みにアレンジしてある。
2日目朝は1日目と同じ、昼はチャイニーズレストランに行く、ドイツ流のチャイニーズレストランである。
夜は昼と同じチャイニーズレストランに行く。
3日目2日目と同じ、次の日も同じ、その次の日も。
要するに毎日チャイニーズレストランい行くのである、それも昼と夜両方。
そんなにチャイニーズレストランに行くところを見れば、よほどおいしいかと思われるかも知れませんが、とんでもない、
ドイツ流にアレンジした中華料理で、どんなメニュー頼んでも、中に入っている食材が少し変わるだけで味は同じ、
しかも驚いたことにドイツのどこで食べても、ほぼ同じ味がするのである。
これを我々はDIN規格(ドイツ工業規格)の中華料理と呼んでいた。
要するに毎日中華料理屋に通うのは、食事のことをなるべく考えたくないのだ、
惰性で注文して惰性で食べているのである。
よく旅行の本に "..特にドイツ料理は家庭料理に特徴があり、酢キャベツのザワークラウトやシュニッエルン
(カツレツ)は逸品である。又うなぎの燻製なども大変おいしい"などと書いてある。
"うそつき!"と私は叫びたくなる、著者は本当に食べたことがあるのだろうか?
酢キャベツのザワークラウトは日本では捨ててしまうような、
ごわごわした硬いキャベツを酢に漬けただけですよ!。
シュニッエルンは殆ど油気に無い豚肉に小麦粉をまぶして油で揚げてあるだけですよ。
おまけにうなぎの燻製ときたひには、一口食べると脂っこくてどこに吐き出そうか、考えるしろものですよ。
まあ旅行書などと言うものはこんなものかも知れないけれど。

ホワイトアスパラ(シュパーゲル)
3年半ドイツにいたがドイツ料理がおいしいと言う人には一人も出会わなかったのである。
ところがである、ついに見つけたのである、ドイツ料理のおいしいものを。
「シュパーゲル」これが名前である、初夏に出るホワイトアスパラである。
2週間位の間しか店頭に並ばない、直系2cm位のものは10本位束になって2000円位はする。
高級品である。
これを茹でてマヨネーズの様な物を付けて食べるのである。
味はといえば、淡白でわずかな甘味が有り、付けるソースとよくマッチしていくら食べても飽きる事はない。
そしてこれが私が見つけた唯一のおいしいドイツ料理である。

一度日本から私の後輩Y君が出張でドイツに来たことが有った。
大体私は日本人が来ると食事は日本食に連れて行く。
これは私が食べたいと言うより駐在員のサービスである。
一日目の夜は日本食に連れて行った、2日目の昼日本食に行こうとしたら、Y君が
「ドイツに来てまで日本食を食べたくない。」
などと言い出したのである。
よし来たと私は思った、その昼は典型的なドイツレストランに連れて行って、
シュニッテルンを腹いっぱい食べさせた。
そして夜は、ドイツビールとホワイトソーセージをたっぷりと。
次の日の昼私はY君にどこのレストランに行こうか聞いた、"日本食で願いします"と彼は言った。
それから4日間毎日、日本食に行ったのである。ベルリンでの話である。
食事に関しての失敗談は数限る無くある、イタリアの大きな会社に行ったときのことである。
この会社は社員食堂がありバイキング形式になっていた、バイキング形式は便利で好きなものを好きなだけ取れる、
日本人とイタリア人では多分胃の大きさも違うので、自分で量を調節できるのはなんと言ってもありがたかった。
しかもこの食堂がなかなか美味しくて、私も昼食を楽しみにしていたのである。
特に私は、ペンネというパスタとラザニアが好きであった。
加えてこの食堂にはアーティチョウーク(朝鮮アザミ)がいつも置てあった。
食事の後デザート代わりにアーティチョウークを 一片ずつむしって、下の歯ででこそいで食べることが特に好きであった。
ある時ふと見ると大きななべの中にスープがありその中に真ん丸くて真っ白なテニスボールを
少し小さくしたような物が浮かんでいるではないか、前の人はそれをスプーンですくって自分の皿の上に
乗せていた。
これはうまいそーだ、これを食べない手は無いと思い私も一つ皿に乗せた。
早速自分の席に着いてその白いボールをスプーンですくって口の中に入れた。
「☆●×△■....!」私の口の中で やぎ"が暴れていた。
昔子供のころやぎの乳を飲んだことがある、このにおいはまさしくそれであった。"
多分それはやぎの乳から作ったチーズを茹でたものであろう。茹でたことによりいっそうやぎの匂いが
強くなっている。
何か生きている「やぎ」の尻に噛み付いたようなそんな感じであった。
私はあわててその皿の上に違う皿を重ねて、片付ける時にそっと残飯の中に捨てた。

強烈な匂いのチーズ
匂いに関してはまだある、ある時私のドイツの事務所でイタリア人技術者向けにセミナーをしたことがある。
確かイタリア人は2人で3日コースだった。
一日目の夕食はこういった場合大抵日本食に連れて行く、ディユッセッルドルフにはいい
日本食のレストランがたくさんあるのだ。
2日目の昼食のとき我々はイタリア人を会社の近くのドイツレストランに連れて行ったのである。
一度イタリア人がドイツ料理を食べるところを見たかったのである。
食事時のイタリア人は楽しい、言葉はあまり通じないのであるが、身振り手振りで笑わしてくれる。
一通りあたりまえの注文が終わり、少し手持ち無沙汰になった時にイタリア人の一人が隣のテーブルにある
メニューを取り上げ、もう一人のイタリア人にメニューの中の何かを指差してくすくす笑っている。
やがて料理が運ばれてきた時イタリア人の一人が、メニューを指差してウエイターに何か頼んだのである。
ウエイターはすぐに引っ込んで、今度は丁度大きなキャラメルのようなものを2つ程皿の上に載せて持ってきたのである。
ウエイターが下がった後一人のイタリア人がその皿を取り上げて匂いを嗅ぎ、"ギャー"と言ったのである。
驚いて私も皿に顔を近づけてみた。「ムムム」声が出なかった。
日本のクサヤなど尻尾を巻いて逃げ出して行く様な、それ程強烈な匂いであった。
     こういった物は多分毎日少しずつ食べていると美味しくてやめられなくなるのであろう。
「食べると美味しいくさやの干物」である。ただし最初に食べる勇気は無かった。
イタリア人は他の皿をその上にかぶせて空いている隣のテーブルに置いたのである。
それが何か私は知らないが、多分有名なドイツのチーズあろう。

結局イタリア人もドイツ料理は口に合わず、食が進まなかったようである。
気の毒なことをした。

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